もくじ
Shopify POSとは
Shopify POSとは、ECプラットフォームであるShopifyが店舗経営効率化などを目的として提供している、POSアプリのことです。
ちなみにPOSは「Point of Sales(販売時情報)」を意味し、 POSシステムを搭載したレジ(POSレジ)は会計処理だけ行うレジ(レジスター)と大きく異なります。販売データや顧客データなどさまざまなデータを蓄積・分析する機能が備わっており、店舗経営効率化に加えたマーケティングの最適化も可能となります。
通常、POSレジ(専用機タイプ)は1台あたり50〜100万円の導入費用がかかり、継続的な保守費用もかかります。一方でShopify POSはタブレット端末にPOSアプリをインストールすることでタブレット端末をPOSレジとして使用できるため、導入費用を大幅に削減できます。
ランニングコストに関してはプランに応じた月額費用を支払うだけなので、専用機タイプのPOSレジを導入するよりも、Shopify POSは圧倒的低コストで店舗経営効率化を実現できるのです。
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Shopify POSの料金体系
Shopify POSの料金体系には「Shopify POS Lite」「Shopify POS Pro」という2つのプランがあります。Shopify POS Liteは簡易的なPOSレジ機能を搭載し、Shopify POS Proには高度なPOSレジ機能が搭載されています。プランごとの料金・機能を比較してみましょう。
Shopify POS Lite | Shopify POS Pro | ||
コスト | 月額料金 | 無料 (Shopify利用者のみ) | 89ドル (Shopify Plus利用者は無料) |
初期費用 | 無料 | 無料 | |
OMO販売 | 商品QRコード | ◯ | ◯ |
店頭受取 | × | ◯ | |
配送対応 | × | ◯ | |
在庫管理 | 商品登録数 | 無制限 | 無制限 |
在庫追跡 | ◯ | ◯ | |
複数倉庫管理 | ◯ | ◯ | |
バーコードラベル | ◯ | ◯ | |
注文書作成 | × | ◯ | |
需要予測 | × | ◯ | |
在庫分析 | × | ◯ | |
低在庫レポート | × | ◯ | |
棚卸 | × | ◯ | |
スタッフ管理 | スタッフ登録 | 限定的 | 無制限 |
POSログイン | ◯ | ◯ | |
承認プロセス | × | ◯ | |
スタッフ権限設定 | × | ◯ | |
チェックアウト | 税率設定 | ◯ | ◯ |
クーポン発行 | ◯ | ◯ | |
ディスカウント | ◯ | ◯ | |
バーコードスキャン | ◯ | ◯ | |
返品 | ◯ | ◯ | |
商品交換 | × | ◯ | |
注文キャンセル | × | ◯ | |
領収書カスタマイズ | × | ◯ | |
顧客データ | 顧客プロフィール | ◯ | ◯ |
注文履歴管理 | ◯ | ◯ | |
POSから連絡 | ◯ | ◯ | |
ロイヤルカスタマー | ◯ | ◯ | |
分析・レポート | 分析ダッシュボード | ◯ | ◯ |
日別販売レポート | × | ◯ | |
小売販売レポート | スタンダードプランから | ◯ | |
商品レポート | スタンダードプランから | ◯ | |
キャッシュフローレポート | スタンダードプランから | ◯ | |
マーケティング | 商品レビュー | ◯ | ◯ |
メールマーケティング | ◯ | ◯ | |
SNS連携 | ◯ | ◯ |
Shopify POS LiteはShopify利用者に無料で提供され、タブレット端末にインストールすることですぐにPOSレジとして使用できます。
Shopify POS ProはShopifyの利用有無にかかわらず月額89ドル(年間払いなら月額79ドル)かかりますが、本格的なPOSレジとして店舗・ECサイト経営に役立つ機能満載です(例外としてShopify Plus利用者は無料で使えます)。
Shopify POSのメリット
続いて、Shopify POSを導入することで得られるメリットをご紹介します。
OMO施策を取り入れるのに最適
OMOとは「Online Merges with Offline」の略であり、日本語では「リアルとデジタルの融合」などと訳されます。OMO施策を取り入れることで、リアルとデジタル(店舗とECサイトなど)を融合し、さらに新しい体験価値を顧客に提供できるようになります。
そうしたOMO施策を取り入れるにあたって、Shopify POSは最適なPOSレジです。Shopifyで構築したECサイトとの連携性が非常に高く、特別な設定なしに店舗・ECサイトの販売データ、在庫データ、顧客データを統合できます。
ShopifyですでにECサイトを構築している方にはもちろん、これからECサイトを構築しようと考えている店舗経営者もShopifyでECサイトを構築すれば、Shopify POSの導入で気軽にOMO施策を始められます。
柔軟性とアクセス性が高い
Shopify POSはShopipyのアプリマーケットで提供されているアプリを導入すれば、簡単に機能を拡張できる柔軟性があります。たとえば、当社が開発・提供する「Lipify(リピファイ)」は、Shopify及びShopify POSとLINEを連携し、LINE上での顧客コミュニケーションを実現するアプリです。
LipifyがあればLINE公式アカウントを友だち追加してくれた顧客に個別メッセージを送信することも、顧客のLINE上で会員バーコードを表示して店舗で顧客管理を促進することもできます。今や小売店に必須であるLINEマーケティングを促進できるため、売上向上・業務効率化に貢献します。
このように、Shopify POSで使用できるアプリを導入すれば、店舗・ECサイト経営者が目指すビジョンに沿ったPOSレジを構築可能です。
多額かつ継続的な投資がされている
Shopifyは世界最大のECプラットフォームとして、多額かつ継続的な投資を行っています。近年ではShopify POSにおける投資も進んでおり、欧米諸国ではShopify POSに対応した決済端末が普及するなど、Shopify POSがより使いやすい環境が整っています。
日本においても、今後数年でShopify POSに対応した決済端末が登場する可能性が高く、継続的な改善に大いに期待できるのもShopify POSのメリットです。
Shopify Plus会員なら無料で使える
Shopify PlusはいくつかあるShopifyプランの中で、最高ランクのパフォーマンスと機能性を提供しています。あらゆる小売形態に対応でき、日本ではAJINOMOTOや亀田製菓、SEIKOなどの大手小売企業が導入しているECプラットフォームです。
Shopify Plusは月額2,500ドルと高額な月額費用を必要としますが、20ロケーション分のShopify POS Proがプランに組み込まれています。つまり月額1,780ドル分のShopify POS Pro費用が含まれているので、Shopify Plusの実質的な費用は月額720ドルです。
数十店舗分のPOSシステムとECサイトを統合し、高度な販売戦略を実現したい場合はShopify Plusを検討してみましょう。
Shopify POSで解決できる小売業の深刻な課題
小売業には人材不足や消費者行動の変化など、早急に解決すべきさまざまな課題があります。Shopify POSはそうした小売業の深刻な課題にも対応できるため、ここでそのアプローチをご紹介します。
1. 競合との差別化
Shopify POS導入によるOMO施策の実現は、競合との差別化を大きく推進します。
コモディティ化(市場活性により商品間の品質差がなくなること)が進む小売業において、競合に対して如何に差別化を図るかは大きな課題です。一方で、多くの消費者は商品の「情緒的価値(感情的価値)」を重視しており、商品を通じて得られる体験だけでなく、商品の認知から購入に至るまでの体験も重視しています。
Shopify POSでOMO施策を実施すれば、デジタルとオンラインの境を排除し、顧客に対して最高の体験価値を提供する準備が整います。情緒的価値を高め、大きな競合優位性を手にする基盤こそがShopify POSなのです。
2. 人材不足の解消
Shopify POSはリアルとデジタルの融合だけでなく、POSレジとしての機能も充実しています。
たとえば、経済産業省の資料によると店舗のレジ締め作業にかかる時間は、1台あたり「48分」です(売上データ集計23分、現金集計25分)。Shopify POSがあれば売上データの集計作業そのものがなくなるため、毎日のレジ締め作業時間が半減します。年間の短縮時間にすると、1台あたり6,900分(115時間)です。
この他、商品のバーコードスキャンやPOS画面での商品選択により、レジ作業の正確性をアップしてミスを削減します。レジ作業のミスが減れば手戻りも少なくなり、結果として業務効率化が促進して人材不足の解消の一助になるでしょう。
3. 消費者行動の追跡
近年の消費者行動はデジタル化が進み、リアル・デジタルを自由に行き来できる時代になりました。こうした消費者行動の変化に対して後手に回っている小売業界において、Shopify POSはShopifyと連携した正確な消費者行動の追跡を提供します。
Shopify POS及びShopifyでリアル・デジタルにおける消費者行動を追跡すれば、顧客の購入プロセス・パターンを割り出し、より快適な購入体験を提供できます。さらに、追跡によって得られたデータをマーケティングに活かせば、広告費用・広告効果の最適化にも貢献します。
4. 顧客データの活用
Shopify POSを通じて得られた顧客データはさまざまな形式で活用できます。
たとえば、店舗で商品を購入した顧客のプロファイルを登録し、さらにLINEのID連携などを利用してECサイト上での行動に紐づけてみましょう。店舗で得られた顧客プロファイルを元にECサイト上で商品提案などが行えるようになり、リピート率やLTV(顧客生涯価値)の向上につながります。
この他、顧客データを分析してセグメント(顧客集団)ごとに最適な提案を用意し、それをLINEやメールで配信したりと、さまざまなマーケティング施策に活かせるのもShopify POSの利点です。
以上のように、Shopify POSがあれば小売業が抱えるさまざまな課題にアプローチできるだけでなく、継続的な事業拡大を支援する強力なツールとなります。
Shopify POSの活用事例
それでは、実際にShopify POSを使って小売業の課題を解決している事例をご紹介します。
Brillar(ブリジャール)
日本初のモアサナイト専門ジュエラーのBrillarは、2023年12月の銀座本店オープンを機にShopify POSを導入しました。
Brillarはブランド立ち上げ当初からECサイト運営にShopifyを利用していたため、改めて商品登録を行う必要のないShopify POSを選ぶのに時間はかかりませんでした。
Shopify POS(Shopify POS Lite)はShopify利用者に無料で提供されているため、ECサイト中心のビジネスモデルから店舗開店にあたっては、非常に効率よくPOSレジを導入できます。
さらにBrillarではLINEを使った顧客情報管理やコミュニケーション促進のために、「Lipify(リピファイ)」を活用しています。
参考:Shopify×LINEの連携でお客様もスタッフも利便性を向上|Brillar(ブリジャール)【事例インタビュー】
Allbirds(オールバーズ)
Allbirdsはアメリカ・サンフランシスコ発のスニーカーブランドであり、快適性を追求した商品が世界中で支持を集めています。そんなAllbirdsは、日本上陸1号店となった原宿店においてShopify POSを導入しました。
AllbirdsではShopify POSを活用し、さまざまな顧客体験を提供しています。たとえば、顧客が商品を購入する際にスタッフが持っているShopify POS端末にメールアドレスを入力すると、そのアドレス宛に電子レシートが届きます。紙のレシートを発行しないためサスティナブルかつ顧客のレシート管理の手間を省き、さらにAllbirdsは顧客情報を効率よく獲得できます。
さらに、メールアドレスを登録した顧客にはNPS(ネットプロモータースコア)と呼ばれる、店舗体験を11段階で評価できるメールが届き、これにより素早いフィードバックを獲得しています。
このようにShopify POSなら「顧客の商品購入まで」だけでなく、購入後のフォローアップにも活用可能です。
参考:AllbirdsがShopify POSを通して日本で実現する「オフライン × オンライン」の姿|Shopify
Beer OWLE(ビア・アウル)
Beer OWLEは静岡発のクラフトビール専門店であり、地酒から輸入ビールまで幅広い商品をラインナップしています。そんなBeer OWLEは、Shopifyを使ったECサイト運営によって消費者にダイレクトに販売するビジネスモデルを確立しました。
さらに、店頭販売における在庫データの連携を図るためにShopify POSを導入。これにより在庫データの差異が生まれなくなり、業務効率を大幅に促進できたといいます。
また、消費者に対してはECサイト販売を中心に展開しているため、「安全な決済システムを構築している」点もShopify及びShopoify POSを選んだ大きな決め手となっています。
参考:静岡の人々にクラフトビールをもっと身近に。Shopify POSを活用するBeer OWLEのストーリー|Shopify
Shopify POSによるOMOマーケティング
ここまでの解説でも度々登場している「OMO(リアルとデジタルの融合)」は、小売業の販売戦略として非常に重要なものとなっています。消費者はリアルとデジタルを自由に行き来し、自分にとって最適な商品を常に探しています。
さらに、商品や購入に至るプロセスを通じて得られる「情緒的価値(感情的価値)」を重視する消費者が増えた今、リアルとデジタルの融合によって新しい体験価値を提供することは、すべての小売業者が避けては通れない道です。
Shopify POSなら数あるPOSレジと比較してみても、OMOマーケティングを実現する上で最も最適なPOSレジだと言えます。その理由は、ShopifyそのものがECプラットフォーマーとして日本のEC事業を牽引する存在であり、さらに店舗販売を支援するShopify POSを提供する事業者であることに他なりません。
POSレジ事業者の多くは「店舗販売をいかにサポートするか?」を重視しますが、Shopifyは店舗販売に加えて「OMOを気軽に推進するには何が必要か?」を考え、継続的な投資を行っています。
そのため、単に店舗販売のためのPOSレジを導入するのではなく、OMOマーケティングまで見据えてPOSレジを選ぶのであれば、間違いなくShopify POSがおすすめです。
まとめ
本記事ではShopify POSとは何か、料金体系やメリット、解決できる課題などをご紹介しました。数あるPOSレジの中でも、「ECサイトとの連携性」を重視するならShopify POSをぜひご検討ください。以下の記事では、POSレジの基礎知識解説に加えて、おすすめPOSレジ4社の比較を行っているので、合わせて参考にしてみてください。
関連記事:POSレジとは?4社を比較してわかったShopify POSを選ぶわけ
Shopify POSと連携可能な「Lipify(リピファイ)」のご紹介
Lipify(リピファイ)はShopifyで構築したECサイトとLINEを連携し、LINE上での顧客コミュニケーションやマーケティングを支援するShopifyアプリです。
月額9ドルという業界最安級の価格で導入でき、LINE公式アカウントに友だち登録してくれた顧客に対して個別チャットを配信できたり、LINEマーケティングを促進する機能が多数備わっています。
また、LipifyはShopify POSとも連携し、顧客がLINE上で表示した会員バーコードをShopify POSで読み取ることができます。顧客データの取得やサービス最適化にも貢献するShopifyアプリなので、Shopify POS導入時はLipifyを活用したLINEマーケティングをぜひご検討ください。
IT導入補助金2024対応で導入・運用費用を抑えられる
LipifyはIT導入補助金に対応しているShopifyアプリです。2年分の費用が補助される上に、パソコン・タブレットなどの導入費用も補助対象となります。企業によっては導入費用の半額以上が補助されるので、ぜひご検討ください。