Shopifyで始めるCRM対策! CRMの具体的な意味や導入までの流れを丁寧に解説

  • 2022.12.02

この記事で得られること

ShopifyでCRMを実施する意味やメリットが分かる

ShopifyでCRMを導入する具体的な手順が分かる

EC経営において、新規顧客の獲得に並んで重要な意味を持つ『CRM』。本記事では、CRMを「聞いたことはあるけど具体的なやり方がイメージできない」という方に向け、意味やメリットを解説するとともに、実際にShopifyでCRMを導入するステップをお伝えします。

CRMとは?

CRMとは「Customer Relationship Management」の略語で、日本語では顧客関係管理のことです。

企業と顧客の関係を管理する、言い換えると「顧客との間に信頼関係を築き、継続して購入してもらうための施策やツール」がCRMです。例えば、商品を購入したショップから後日「お客様がお気に入りした商品が値下げしました」とメールが届く。これもCRMの一例です。

CRMを実施する目的は、顧客に対して「最適なタイミング」で「最適な商品」を提案し、LTV(※)を向上させることにあります。顧客と丁寧なコミュニケーションを積み重ね、繰り返し商品を買ってもらうことでLTVを高められます。
※LTV(Life Time Value):顧客生涯価値。ある顧客が特定の企業に対して生涯で支払う金額を示す指標。

近年、CRMの重要性はますます高まっています。その理由の一つとして、市場の縮小により、新規顧客の集客が困難になっていることが挙げられます。人口が減少していく時代だからこそ、既存の顧客に対し丁寧な接客を行い、末永くショップを利用してもらうことが大切です。

また、インターネットが一般化し、スマートフォンが普及したことで顧客の購買行動が大きく変化しました。以前はテレビのコマーシャルや新聞などの限られた情報をもとに商品を選んでいましたが、現代ではネット上にある膨大な情報に触れて、商品を自由に選ぶことが可能です。このような時代において、中小規模のECサイトがAmazonや楽天などの大手ECプラットホームに対抗するには、CRMによって顧客のニーズを把握し、適切なマーケティングを行うことが鍵となります。

POINT

  • CRMとは、顧客との間に信頼関係を築き、継続して購入してもらうための施策やツールのこと。

ShopifyでCRMを実施するメリット

CRMを実施する目的は顧客生涯価値(LTV)の向上だと説明しましたが、他にも下記のようなメリットが存在します。

  • 売上の安定化につながる
  • 効果的なマーケティング戦略を打ち出せる
  • 顧客情報の管理を効率化できる

順番に解説していきます。

①売上の安定化につながる

CRMの実施は売上の安定化につながります。

先ほど、CRMとは「顧客との間に信頼関係を築いて、継続して購入してもらうための施策やツール」だと説明しました。つまり、CRMはリピーターの獲得に直結する戦略だということです。

定期的に商品を購入してくれる顧客がいれば、ショップの売り上げは安定します。売り上げを向上させるためには、リピーターの獲得だけでなく新規の集客も大切ですが、前述したように近年の社会変化で、ECサイトの新規集客は年々難しくなっています。また、せっかく新規の顧客を集めたとしても、リピートしてもらえなければ集客コストがかさみ、経営は安定しません。

有名なマーケティング用語にパレートの法則(2:8の法則)があります。「顧客全体の2割が売り上げの8割を生み出している」という法則です。CRMを通じて優良顧客を獲得すれば、毎月一定の売り上げが見込めます。CRMだけで売上の半分を上げることも夢ではありません。

②効果的なマーケティング戦略を打ち出せる

CRMは効果的なマーケティング戦略につながります。

マーケティングに関する情報は巷にあふれていますが、闇雲に施策を打ってもコストがかさむだけで利益は上げられません。では、マーケティングを成功させるために何が重要でしょうか。ずばり「正しいターゲット」の設定です。

後ほど詳しく解説しますが、CRMでは顧客の「セグメンテーション」を重視します。セグメンテーションとは、簡単に言うと顧客を「購入頻度」や「購入額」などの傾向によってグループ化することです。

情報があふれている現代では、顧客の価値観も多様化しています。マーケティングを成功させるためには、あなたのお店の顧客が「今、何を欲しがっているのか」「その商品を通して何を達成したいのか」「そのためにどれだけのお金を支払えるのか」といった情報を細かく把握し、最適な集客方法や商品設計を行う必要があります。

「顧客を分類して管理する」と書くと冷たく聞こえるかもしれません。しかし、顧客が「欲しいタイミング」で「欲しい商品」を提案することは、顧客満足度の向上に直結します。少ないコストで最大限の利益を上げるためにも、顧客情報をもとにしたマーケティング戦略を練ることが大切なのです。

CRMで具体的にどのような戦略を組めばいいのかについては、後述します。

③顧客情報の管理を効率化できる

顧客情報の共有・管理が容易になることも、CRMの大きなメリットです。

特に大手のショップになるほど、扱う顧客の情報は膨大になります。顧客情報は、正しく扱えば売り上げに大きく貢献しますが、管理にかかるコストは少なくありません。

その点、ShopifyではCRMを支援する「顧客管理」機能が充実しています。マイページの「顧客管理画面」から顧客情報をCSVファイルにエクスポートすれば、顧客データをエクセルやスプレッドシートで管理したり、スタッフ間で共有することが可能です。

また、「顧客管理画面」では「支払額」や「注文日付」「メール購読状況」など、複数の条件で顧客を絞り込むことができるので、先ほど説明したセグメンテーションを行う際にも便利です。

Shopifyには顧客管理を支援するアプリも豊富にありますので、積極的に活用していきましょう。

POINT

  • CRMによってリピーターを増やし、売り上げを安定させることができる。
  • 顧客データを活用すれば効果的なマーケティング戦略が打ち出せる。
  • Shopifyは顧客情報の管理をサポートする機能が充実している。

CRM実施の流れ

ShopifyでCRMを行う手順をチェックしていきましょう。CRMで行う施策は膨大に存在し、内容も多岐にわたります。この記事では、抑えておくべき全体の流れについて解説します。

具体的には以下の5ステップになります。

①現状を分析する
②仮説を立てる
③顧客をセグメンテーションする
④グループに合わせたシナリオを作成する
⑤結果を分析し改善する

それでは、順番に見ていきましょう。

①現状を分析する

まず初めに、手元の顧客情報を分析し、顧客の悩みやニーズを把握する必要があります。

顧客分析をする上でおすすめの手法が、RFM分析です。RFMは「Recency(最終購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの指標を基に、顧客を分析する手法です。

RFM分析
●最終購入日(R:Recency)
商品を最後に購入した日を指します。最終購入日から日が浅い顧客を高く評価します。

●購入頻度(F:Frequency)
顧客が商品を購入した回数を指します。回数が多い顧客ほど高く評価します。

●購入金額(M:Monetary)
顧客の購入金額の総額です。金額が高い顧客ほど高く評価します。

顧客の購買行動を把握するRFM分析は、CRMの施策を練る上での指針となります。

②仮説を立てる

膨大な顧客データの裏には、一人一人の「感情」があります。顧客情報を分析する際は、顧客が購買するか否かを選択するまでの「感情」や「思考」を想像するようにしましょう。

例えば、商品のカゴ落ちが多かったとします。理由はいくつか考えられます。

・送料や手数料が高かった
・途中でエラーが起きた
・アカウント作成が面倒だった
・配送時間が長いことが分かった
・可能な決済方法がなかった
・カートに入れたまま忘れていた

顧客分析では、上記の例のように「なぜこのお客さんはこのような行動をとったのだろう」と、問いを投げかけながら進めていくことが大切です。無機質なデータからどれだけ顧客の「感情」を読み取れるかが、CRMの成功を左右します

③顧客をセグメンテーションする

CRMでは、適切な顧客に、適切なタイミングで施策を打つ必要があります。そのための下準備が、顧客を「性別」や「年齢」「居住地」などの属性によってグループ分けするセグメンテーションです。

一例として、①で解説したRFM分析の数値をもとに顧客をグループ分けしてみましょう。下記のようなグループができあがります。

A:購入金額や購入頻度が高く、最近購入しているグループ
B:購入金額や購入頻度は高いが、購入から日が経過しているグループ
C:購入金額は低いが購入頻度は高く、最近購入しているグループ
D:購入金額は高いが購入頻度は低く、最近購入しているグループ

セグメンテーションによって、顧客ごとのショップへの貢献度が把握でき、課題も浮き彫りになります。最終購入日の値が低ければ、新規の顧客が減っていることが分かりますし、購入頻度が落ちていれば、顧客離れが進行していることを示します。

④グループに合わせたシナリオを作成する

顧客のセグメンテーションが完了したら、グループの特性に合わせたシナリオ(販売戦略)を練ります

例えば、上記のA(購入金額・頻度高い、最近購入)優良顧客です。このグループは売り上げに貢献してくれるだけでなく、口コミなどでショップの宣伝をしてくれる効果も期待できます。関係が途切れないよう、定期的にアプローチすると良いでしょう。

B(購入金額・頻度高い、購入から日が経過)は、優良顧客だったが現在は離れてしまったグループです。最近の商品に魅力を感じなかった、ショップの対応に不満をもった、などの可能性が考えられるでしょう。単純に、生活が変化してショップから離れたというケースもあります。その場合は、新商品の案内メールを送信するなどの施策が有効です。

C(購入金額低い・頻度高い、最近購入)のグループはショップ自体には満足している可能性が高いです。高額商品の魅力をPRする施策を打つと良いでしょう。

D(購入金額高い・頻度低い、最近購入)のグループは商品を気に入っているものの、積極的に購入する理由がとぼしいのだと考えられます。以前購入した商品を再度おすすめしたり、新商品の案内をするといった施策が考えられます。

⑤結果を分析し改善する

施策ができあがったら、実行に移していきます。ただ実行して終わりにするのではなく、事前に立てた仮説に合致しているか絶えず検証していきましょう。常に顧客の反応をうかがい、手ごたえがなければ別の施策を試す、切り替えの早さが大切です。その際も失敗を無駄にしないよう、可能であればアンケートをとって、顧客の声を集めておくと良いでしょう。

分析をもとに仮説を立て、シナリオを作成し、実行に移す。結果を見て改善する。このサイクルを繰り返すことで顧客分析の精度が上がっていき、売り上げの向上につながる施策が打てるようになります。

POINT

  • CRMの流れは「現状分析」→「仮説」→「セグメンテーション」→「シナリオ作成」→「改善」の5ステップ

まとめ 効果的にCRMを実施して売り上げを増やそう

ShopifyでCRMを実施するメリットや実際に導入する流れについて解説していきました。

ECサイトの売り上げを安定化させ、LTVを向上させていくためには、顧客の望んでいるものを理解し、適切な施策を打っていくことが不可欠です。

Shopifyには、CRMをサポートするアプリも数多く存在します。目的に合わせたアプリを活用し、継続的な売り上げ向上につなげてください。

株式会社カシミラでは、LINE×Shopify連携ツール「Lipify(リピファイ)」を開発するなど、データに基づく、顧客ひとりひとりに合わせたCRM施策のサポートを行っています。

「CRMの効率を上げたい」「CRMの施策について相談したい」という方は、ぜひ当社までお問い合わせください。